2026年に向けた社会的ビジョン

明けましておめでとうございます。お正月は、いかがお過ごしでしょうか?
私は、新年の挨拶に両親のお墓へ行ってきます。新年早々墓参りってどうよ?と思うかもしれませんが、母の命日が1月6日なので挨拶に行くと同時に、今の自分を見つめ直し、新たな抱負を心の中で墓前に誓う事を続けています。
さて、昨年の一年間を振り返ってみると、市議会議員として地元の地域や労働組合、市民団体等、様々なことを同時並行で行ってきましたが、特に変化があったと言えば、所属する全国一般三多摩労働組合で、執行委員長に拝命されたことです。元々、42歳から46歳までの間は議員ではなく一般市民として生活していましたが、その間に勤めていた団体から不当に解雇された経験があり、その時に相談したのが三多摩労組でした。その時の経験は、ある意味で今の自分の活動の原点になっていると思います。労働組合という存在の大切さと重要性を肌で感じました。とはいえ、執行委員長になったからと言って無理に背伸びをせず、目の前の事を一つ一つ丁寧に取り組みます。
国政では昨年の10月に総選挙が行われ、新たな政治体制となり、新たな保守政党が台頭してきました。今までの政治の見方とは大分違う側面があり、公明党が連立を離脱し、その代わり維新が自民党と連立を組んでいます。これによって保守派が推す政策にブレーキがかからなくなるリスクが生じています。実際に11月国会では、台湾における有事は、日本の存立危機になると発言したことによって、中国から激しい非難と経済的な報復措置に至りました。恐らく中国にとって、今の政権が変わらない限り対日強硬策は変わらないでしょう。私たちは何としても、今の政権を変え、日中友好を促進する政権にしなければなりません。
こうしたことは、安全保障問題に限らず、憲法問題にも及びます。改憲派が多数を占める今の政権は、少数与党ではあるものの、今の野党の中でも改憲を推す勢力が議席を伸ばしており、大変憂慮する状況だとも言えます。
一方、リベラルと言われる政治勢力は、非常に苦境に立たされています。一般的にリベラル政治は、個人の自由や個性を尊重し、憲法改正には慎重な立場を取り、多様な価値観を尊重し、共助や共生を重視しておりますが、今の社会の中で、こうした傾向に共感する有権者が少なくなってきている気がします。
何故か?
これはマイケル・サンデル教授が指摘していますが、誰でも努力すれば成功し、充実した人生が送れるという期待や希望が叶えられないと感じる有権者が多くなってきているという点です。また学歴編重社会によって、大学の学位を持たない市民と学位を持った市民との間に経済的、社会的格差が生じている事も指摘しています。また、大学の学位を持っていても、大学のランキングによる学閥という形で、勝ち組と負け組に分けられ、期待していた夢や希望が叶えられないと諦め、虚無感や絶望感が生じているようです。「社会の平等、公平、公正」という言葉が上っ面に聞こえてしまうのではないかと思います。
私たちは今、直面するこうした問題を謙虚に受け入れ、今後の新たな方向性を見出して、一般市民が目に見える具体的な社会のビジョンを打ち出していかなければならないと感じています。
私は今、様々な活動に携わっていますが、それらの活動は自分一人ではできません。目に見えない部分にスポットを当て、評価していかないと物事は前へ進みません。私達の日常生活で欠かせないものはたくさんあります。人手不足と言われる業界では、バスやタクシーのドライバー、運送業、土建業、介護ヘルパー、学校教員、製造業等があり、私たちの生活には欠かせない仕事ばかりです。
民間企業では、職場環境や制度を変えて、優秀な人材が集まるように工夫しているところも多いと思いますが、こうしたことができるのは、ほんの一握りの会社です。中小零細企業では、なかなか人件費や職場環境を変える余裕がないところが多いと思います。これは、政治の力だけではできない部分です。やはり、現場で働く勤労者が自ら声を上げ仲間と一緒に就労環境の向上と賃上げ、人事評価の在り方を決めるようにしていくことが必要です。
いずれの職種や仕事も、すべて尊い役割があります。リベラルが主張する多様な価値観を尊重し共助や共生を重視するとは、こういうことだと思います。しかし「今だけ、金だけ、自分だけ」と思っている人の心に直接響く言葉とビジョンを示さないと、今の厳しい現実に直面し生活を続けている方々は、なかなか変わらないと思います。
では、自分がこうした方々に、何ができるのかと考えた時、何かレトリックで言い包めようとは思いません。彼ら彼女らが直面している現実に対して否定することは、まったくナンセンスだからです。となると、私ができる事は愚直に対話を重ね、一人一人の個人が尊重され、お互いに評価される空気をつくる事だと考えます。地道な事ですが、一つ一つ積み重ねて、今この一瞬を大切に過ごしていくことを今年の抱負にいたします。
2026年が、皆さんにとって充実した一年となるよう祈念し、年頭のご挨拶とさせていただきます。今年も宜しくお願い申し上げます。
2026年1月1日
府中市議会議員 稲津憲護

