犯罪被害者等支援の条例化へ前進

  今回の定例会では、稲津が長年にわたって訴えてきた選挙公約でもある「犯罪被害者等支援の条例化」に向けた有識者会議が設置されることに伴う補正予算が組み込まれる事が、稲津の一般質問で明らかになった。

 府中市内では、様々な犯罪が起きている事はあまり知られていない。しかし、これまでも殺人を含む凶悪犯罪は毎年あり、稲津は防犯面の強化だけではなく、犯罪の被害に遭ってしまった市民への支援をセーフティネットとして府中市に確立すべきであると、25年来訴えてきた。

 2001年の一般質問で、稲津が府中市政の中で初めて犯罪被害者等支援を取り上げてから屈折25年。府中市がようやく声なき声に耳を傾けられるようになったといえる。奇しくも、平成13年第1回定例会では、高野市長が市議会議員時代に「生活安全条例」について、稲津は「犯罪被害者支援と児童虐待への対策について」をテーマに同時に一般質問をしていた。

 現在の高野律雄市長とは、1999年に市議会議員として初当選した同期でもあり、この25年間もの間、党派は違っても、政策面ではお互いに理解し合い、ぶつかる事もあったが、市民目線で物事を見ることは共通していた。この「犯罪被害者等支援の条例化」についても、高野市長が市議会議員時代に防犯面を強化した「生活安全条例」の制定に尽力した時に、稲津から高野市議に「これは市民にとって犯罪が起きる前の予防強化と、犯罪が起きた後の市民への支援という表裏一体の側面があるので、是非とも一緒に条例化するようお互いに協力しよう」と呼びかけた経緯もあった。

 あれから25年間の時間が経過したが、この間にも2005年2月には信用金庫職員殺人事件や2023年2月のホテル女性殺害事件などもあった。犯罪被害者等支援条例がもっと早くにできていれば、できたはずの支援が府中市に条例がなく、支援する術がなかったのは、本当に悔やまれる。

 これまでも稲津は14回にわたって、市議会で犯罪被害者等支援条例の制定を一般質問で取り上げてきたが、他の市議会議員は一切このテーマは取り上げてこなかった。なぜか?被害に遭った市民は、犯罪の被害者であることをあまり表沙汰にしたくない気持ちを持っている方がほとんどである。そうした方々は、府中市で何とかしてほしいという考えさえも、頭に浮かぶ状況にはないといえよう。議員の立場で考えると、票にならない政策を訴えても、票につながらないと考える政治家もいる。ベンサムの『最大多数の最大幸福』という功利主義である。しかし、このような考えのみで本当に物事を判断してよいのかという疑問が私にはある。

 犯罪の被害は、誰にでも起こりえる事でもある。いくら真っ当に生きていても、事件に巻き込まれ、亡くなる事があるのは、自動車事故にしても、けんかの仲裁に入っても、あり得る事である。そのような理不尽な事が起こっても、我々はそのまま放置してもいいはずがない。

 今回の定例会は、私にとってではなく、見えない声、遠い声、小さい声、弱い声が市政に届いた画期的な定例会であったといえる。必要かつ正しい政策を継続して訴えていく先に光が見えるという事が、今定例会で証明された。犯罪被害者等支援の条例制定は、令和10年3月の第1回定例会に持ち越される見通しだが、この条例が日の目を見るまでは、稲津は何としても引き続き取り組んでいく。

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