市議会を振り返って

 11月30日から12月16日までの17日間、第4回市議会定例会を開催していました。今回は、市長提提出議案が25件、議員提出議案が1件、委員会報告事件が5件、陳情が2件。また特別委員会では、基地跡地対策、市庁舎建設対策、学校施設老朽化対策についても話し合いが行われました。

 現在、議会運営委員会の委員長を務めておりますが、今定例会で難しい局面があったのは、陳情の取り扱いでした。議会でも陥りやすいのは、議会運営委員会の時点で、陳情の是非を判断するような流れがありましたが、議会運営委員会は、あくまでも陳情の是非は別として、議会として取り扱うかどうか。つまり、陳情に対して議会が受け止めていくかどうかの判断をする事です。

 今回通告された「今回の談合裁判で判明した、別の漏洩について事実解明を求める陳情」を、①議会として受けるのか、②その審査をする委員会はどこに付託するか、③陳情文章では、固有名詞もあり、個人情報の問題から黒塗りにするかの3点でした。

 議会として陳情の取り扱い基準と照らし合わせて審議するのですが、府中市議会では、係争中の裁判事件に関するものなど、司法権の独立を侵すおそれのあるものは、市議会として原則取り上げない事になっています。そうした中で、各委員に考えや意見を述べていただきました。

 多数の委員からは、陳情の取り扱い基準はあるものの、司法権の独立を侵すおそれまでには至らないとの意見が多くあり、議会として陳情を受理し審議すること自体は認める事となり、陳情審議を議会として行うことを確認。

 その後、付託する委員会について、事務局案では「公契約関係競売入札妨害事件に係る再発防止対策特別委員会(以下、再発防止対策特別委員会)」となっていましたが、ある委員からは、「契約関係となると総務委員会で話し合うのが妥当。再発防止対策特別委員会は対策を議論する委員会であり、事実解明をする場ではない。」という意見がありました。他の委員にも意見を伺ったところ、陳情の内容や特質性を考慮すると、再発防止対策特別委員会で審議するのが適当であるとの意見が多くあり、相互の意見交換を行う中で、再発防止対策特別委員会に付託することを決定しました。

 陳情文章にある固有名詞については、ある委員からは「すでに新聞等でも公表されている情報でもあるので、個人情報保護には当たらないのではないか」との意見もありましたが、裁判の結審が終わっておらず、有罪かどうかも決まっていない状態であり、また事件に関わった議員だけではない市民の名前も陳情文書に記載されている事を考慮すると、ある程度の配慮は必要との意見が出ました。結果的には、固有名詞の箇所は隠した文章で公文書化し、付託先の委員会で審議されることとなりました。

 このように陳情一つにしても、議会では様々な議論があります。議会として、議員として、どのような視点を持って臨むか、その背景にある経緯や、その先の社会への影響、また憲法に基づく人権の配慮や地方自治法、市の議会基本条例、先例集など、様々な知識と応用が求められます。議会運営委員長として当該委員会のみならず、市議会全体の意思決定に向けて職責をまっとうするよう、今後も取り組んで参ります。