備後府中の市役所は、福山方面からだとJR府中駅から徒歩10分ほど。広島市内からの高速バスを利用すれば、道の駅びんご府中で降りて5分ほど歩けば到着します。インパクトの強い色使いは遠くからでも目を引きます。

この4階に議会議事堂や委員会室、議会事務局などがあります。議会事務局で必要な手続きを行って、いざ傍聴へ。

この日は「建設委員会」と「予算特別委員会 建設分科会」が開かれました。いずれも、立憲民主党の芝内議員が所属しています。

実は備後府中では、本会議(一般質問を含む)だけでなく、各委員会や各分科会もインターネット配信を行っています。委員会室には2台のカメラがあり、2分割された画面で議員側と行政側の様子が映し出されます。

この日の建設委員会の模様は、下記URLからご覧いただけます(別ウインドウが開きます。尚、休憩時間を挟んだため、その1とその2に分かれています)。

その1 https://youtu.be/lVLjLf2D6dk (1:14:32)
その2 https://youtu.be/LoKX5fw-KBc (38:18)

URLから分かる通り、備後府中ではYoutubeを使って議会の様子を配信しています(かつてはUstreamを使用していたそうです)。「広島県府中市議会」のチャンネルがあり、平成26年度以降の議会を視聴出来ます。

武蔵府中では、株式会社Jfit(ジェイフィット)のシステムを利用した配信を行っていますが、2019年12月時点では本会議(一般質問を含む)のみ対象となっています。委員会のインターネット配信開始は現時点で未定です。

さて、1つの議案について各委員からの質疑が終わると、委員長から「委員間討議についてお諮りいたします」と呼びかけられます。同様に「討論についてお諮りいたします」ともありました。

武蔵府中では質疑が終わると、そのまま採決にかけられる傾向にあり、「議員間討議(委員間討議)」や「討論」といった、議員の発言を促す呼びかけや取り組みは殆ど見られません。

社民党の水田議員によると、2019年9月に開催された議会運営委員会で、全ての委員会で委員長が必ずこれらの呼びかけを行うことが決まったのだそうです。

実はそれ以前にも議員間討議はあったそうですが、近年は誰かを誹謗すること無く各委員が意見を述べ、議案に対する問題点や改善点などを明らかにする方向に進んでいるとのことでした。

今回傍聴した「予算特別委員会 建設分科会」でも「分科委員間討議」が実施されました。芝内議員をはじめ、全委員がそれぞれの主張を展開しました。この模様は下記URLからご覧いただけます。

https://youtu.be/d_-v1NFQPmo (1:43:27)
分科委員間討議は1:28:27頃から

さて、備後府中で実施されている「予算特別委員会 分科会」とは、各常任委員会(総務文教・厚生・建設)で該当する予算について審議する会のことで、武蔵府中には無いものです。

分科会のメリットとして、審議時間が短く専門的な視点で審議出来ることが挙げられますが、デメリットとして、縦割りにしにくい案件の取り扱いに苦慮するとの話がありました。

また、当該委員で無い議員が発言する場が限られることもデメリットとして挙げられました。備後府中側からは、全議員が委員として参加し発言出来る武蔵府中の予算審議に対して「それ良いですね」という声もありました。

今回は委員会と分科会の傍聴となりましたが、一般質問でも大きな違いがあるので、紹介いたします。武蔵府中では各議員が最長60分の質問時間を有しますが、備後府中では会派に割り振られた時間で行うことになっています。

一人会派の場合は40分、2人の会派だと80分ですが、3人以上になると持ち時間が大きく変わります。芝内議員、土井議員、水田議員の3人からなる「市民クラブ」は100分で、1人平均では30分少々とのことでした。

こうなると、各議員の時間配分が大切になってきます。市民クラブの今回の一般質問も各議員が上手く調整して時間内に終えていました。2019年12月5日に行われた市民クラブの一般質問は下記URLでご覧いただけます。

その1 https://youtu.be/LIJf1q_xCm8 (26:29)
芝内議員の質問は1:40頃から
その2 https://youtu.be/jEKdaEMMANk (1:15:22)
芝内議員の質問(続き)は0:45頃、土井議員の質問は24:39頃、水田議員の質問は56:20頃から

映像をご覧いただくと分かりますが、議員だけでなく行政側も大きく映し出されます。カメラが回っていると意識していれば、気を抜く時は無いように感じます。

ちなみに、備後府中では「一問一答」による質問の際は、1回目の質問後に専用の席に移って展開されます。武蔵府中では現在建設中の新市庁舎に移って以降、同様の形式を取るとのことです。

今回の一般質問で、備後府中は登壇した全議員が「一問一答」としていましたが、武蔵府中では「一括質問」を選ぶ議員が多いように感じます。

さて、今回の傍聴やインターネット視聴を通じて、武蔵府中と備後府中で議会の運営方法が大きく異なることが分かりました。「先進的」と思う事例も多かったです。

しかし、その「先進的事例」も単なる憧れだけで動いてはならないと思う出来事もありました。その先には「市民」という重要な存在があったのです。


ふたつの府中市 〜東京・広島 それぞれの良さを高める旅〜

※ 「パート1」から「パート5」までの感想部分は、事務所スタッフのものが中心となります。