備後府中(広島県府中市)の府中市議会を視察した事務所スタッフは、武蔵府中(東京都府中市)に戻ってすぐ、稲津けんごに状況や様子などを報告しました。ここからは、稲津の感想をまとめていきます。
◉ 議会内でのタブレット端末との向き合い方について
タブレット端末を使うことで、傍聴に来られた方やインターネット配信をご覧いただいている方に示せるものがない…確かにそうですね。言われてみて、そういった考えに気づきました。大いに反省しています。
実は行政視察でタブレット端末を使っている議会を見てきたことがありますが、「使い勝手は?」とか「操作方法は?」といった質問が殆どで、市民への影響を考えて質問する議員は、私を含めて誰一人いませんでした。こちらから質問が出ないから、先方からも市民に関連づけた回答はありませんでした。
タブレット端末自体に反対するつもりはありません。導入することによる市民への影響を考えながら質問を行い、その後の報告を徹底する必要があります。個々の議員だけでなく、議会全体でも対策をしっかり考えるべきでしょう。
◉ 議会報告会について
議会が主催する報告会も、市民に市政の現状を伝える点から重要になりますね。いかに多くの方にお越しいただくか…それを叶えるためにも、議員としての活動をしっかり行うことが大事だと思います。
理想は1つの会場に全議員が参加する報告会ですが、会派の偏りが出ない形で議員が集まる会も良いと思います。実施された際には、報告も質疑応答も丁寧に行いたいです。
参加者が同じ顔ぶれだったとしても、議会報告会を行う価値はあると思います。様々な方の目を入れていただくことで、議会や議論も引き締まります。議会と市民との距離が離れていくことは決して良くありません。
「議会は傍聴できるのだから」「インターネットでも議会中継を行っているから」「議事録が発行されるのだから」…こうした意見が議会報告会の実施の妨げになってはならないと思います。
議場で傍聴される方は武蔵府中でも多いとは言えません。インターネット中継も一部に限られていますし、議事録が閲覧できる場所も限られています。議会報告会は、市民が議会や市政を知るチャンスになると思います。
◉ 議員間討議の解釈について
議員間討議そのものには私も賛成です。しかも、備後府中では市長が提出した議案に対しても議員間討議ができているので、参考になります。
武蔵府中は「議員提出議案にのみ議員間討議ができる」という錯覚を起こしています。この件についても、私は大いに反省しています。
しかし、「議員間討議 = 各議員の意見や立場を表明するもの」だと思っていたので、まさかそれが「反対意見をねじ伏せるためのもの」にされるなんて思いもしませんでした。
社会クラブ(市民クラブの前身会派)の市政報告から、その当時の状況を知ることができましたが、市民をないがしろにした恐ろしい事態が続いていたのですね。備後府中の市議会は、本来あるべき議員間討議によく持っていけたと思います。
強権的に使われないようにするためにも、明確な目的を示し、正しく取り扱うための厳格なルールを設ける必要がありますね。まずは私案をしっかり固めていきたいです。
ペーパーレス化議会や議会報告会、議員間討議などは、無いよりあった方が良い制度ですが、制度を取り入れれば何をやっても良いというものではないことがよく分かりました。
◉ 備後府中の『広報ふちゅう』について
行政が市民を応援する姿勢が随所に見られますね。内容もバラエティーに富んでいます。武蔵府中の『広報ふちゅう』は月3回発行されますが、どの号も市政情報が中心ですね。
備後府中の広報は、月1回の発行でも内容が充実しているので、読み応えがあります。「府中市は市民の支えがあってのもの」という姿勢が伝わってきます。
◉ 市教委主催の児童・生徒対象のレシピコンテストについて
この取り組みは本当に素晴らしいです。食や農業などに関心を持ってもらい、夢や可能性を広げる取り組みですね。レストランのメニューになるなんて、本当に素敵じゃないですか。
武蔵府中は古代米(黒米)栽培に力を入れており、地場野菜も数多くあります。武蔵府中でも、児童や生徒からこれらを使ったレシピを募集する企画があっても良いですね。
包丁やコンロなどを使うのが難しい子には「こんなメニューを食べたい」というアイディアを出してもらうのも良いかも知れません。優秀レシピは市内で活躍する料理人に作ってもらうとか。
子どもたちの可能性を伸ばす取り組みは、武蔵府中にも必要です。もちろん、レシピコンテスト以外の取り組みからも、子どもたちの新たな可能性を引き出せると思います。
◉ ふたつの府中市の交流について
武蔵府中と備後府中は姉妹都市ではなく、特に目立った交流も無かったのですが、今回、事務所スタッフが備後府中の市議会に行き、議員と意見交換したのは、私自身にとっても良い流れだと思います。
今回のスタッフの視察前に、私は立憲民主党の土井議員と連絡を取っていて、私なりに情報交換を行っていました。それを大幅に上回る情報をスタッフが持ち帰ってきたことで、備後府中への関心がいっそう高まり、交流をもっと深めたいと思いました。
備後府中は現在、人口減少対策に取り組んでいますが、武蔵府中でも今後、真剣に考えていかなければならない課題になるでしょう。一方、武蔵府中は新市庁舎建設が進んでいますが、備後府中でもこれから取り組む課題になるとのことです。
実情を見ることで優先順位が見えてくるでしょうし、双方が意見を出し合うことで課題解決のヒントが出るかも知れません。参考にしたいことは沢山あります。
備後府中側からも「情報交換が出来て良かった」「超党派で交流しても良いのでは?」などという意見があったそうで、この関係を崩すこと無く、互いに高め合うものにしていきたいですね。
職業や世代などに関係なく、互いの良さを伸ばす交流はできると思います。
事務所スタッフの疑問から始まった今回の視察は、スタッフや稲津けんごにとって、学び多きものになりました。改めて、備後府中の市議会会派「市民クラブ」と議会事務局の皆様に感謝申し上げます。
ふたつの府中市 〜東京・広島 それぞれの良さを高める旅〜
- パート1 スタッフよ、なぜ「備後府中」に?
- パート2 こんなに違う! ふたつの市議会
- パート3 市民と政治をつなぐ策 〜市民を想う政治へ〜
- パート4 市民の活躍と挑戦を支援するまち
- パート5 行きたいと思わせる要素が多いところは強い!
- パート6 稲津けんごが備後府中から学んだこと (本ページ)
※ 「パート1」から「パート5」までの感想部分は、事務所スタッフのものが中心となります。