東京・府中市の広報紙を考える ~広島県呉市との比較~

2016年になって本日で5日目。昨日や今日から仕事始めで忙しくされている方も多いと思います。稲津けんご氏も寒さに負けずまい進する所存です。


さて、昨年12月のこと、稲津氏は第4回定例会にて「広報のあり方」について、一般質問を行いました。その上で、広報紙『広報ふちゅう』が全市民・全世帯に確実に届いていない点を厳しく追及しました。

そんな中、私、事務所スタッフは、地元の広島県に戻る機会がありました。私が暮らしていた呉市や広島市との広報と比べて、府中市*が健闘している点や参考にすべき点を幾つか洗い出そうと考えました。

*ここでは「東京都府中市」を指しています。実は広島県にも府中市がございます。

これから挙げる考え方が「絶対にそうだ」と言い切るのは難しいですが、何かのヒントになればと思っています。

今回は呉市(くれし)と比較してみます。呉市は2015年11月末現在、人口は約23.3万人です。減少傾向にはありますが、府中市(2015年12月1日現在 約25.6万人)とやや近い数と見ています。

呉市では広報紙として『市政だより くれ』が月1回、毎月10日に発行されています。30ページ前後で、白黒を基調としながらも、挿し色としてオレンジを使った紙面となっています。

配布は自治会や連絡区を通じて行っており、市の施設などにも置かれています。残念ながら実物を貰うことは出来ませんでしたが、上記のリンク先にてpdfファイルで閲覧できます。

ここで府中市と比べてみます。

まず配布回数ですが、府中市では月3回(1日、11日、21日)の配布としています。確かに情報の鮮度は高いと言えますが、回数が多すぎると思う方もあるでしょう。

事実、2015年9月に発表された「府中市 市政世論調査」では半数以上の方が「月2回で良い」と回答しています。呉市のように月1回でも十分とお考えの方があっても不思議ではありません。

次にページ数ですが、府中市の『広報ふちゅう』は、多い時でも1回8ページほどのようです。仮にこれを3倍すると24ページとなります。呉市は平均30ページ前後ですので、ページ数は呉市が上回ると言えるでしょう。

但し、それだけで内容の充実ぶりを測るのは難しいでしょう。ページに限りがある中で、必要とされる情報を適切に選んで掲載することは制作側の腕の見せどころと言えます。

紙面の挿し色は府中市が緑、呉市はオレンジであるものの、白黒基調であることは同じようです。私が子どもの頃、『市政だより くれ』は完全に白黒でした。

さて、今回の比較で私が最も注目したのが「配布方法」です。府中市では「新聞折込」を基本としているため、新聞を購読していない方が『広報ふちゅう』を手にする可能性は極めて低いでしょう。

一方、呉市では、自治会や連絡区*を通じて行っています。つまり、自治会や連絡区の担当の方に『市政だより くれ』を渡し、そこから各家庭へと配布されているようです。新聞折込よりも手に届く確率は高そうです。

*自治会とは独立して作られた、独自のコミュニティと言えるものです。

実は、稲津氏が一般質問に立った際、市から「仮に全戸配布をするとコストが高くなる」との懸念が示されました。確かに市内を1軒ずつ配っていたらコストも上がるでしょう。

しかし、自治会や連絡区の担当の方に渡して、そこから各家庭への配布をお願いするとなれば、コストも下がるのではないでしょうか。自治体側は担当の方のお宅にだけ立ち寄れば済むのです。

担当の方が配る量もある程度抑えられていると思いますが、各自治会や連絡区の方々で手分けをして配れば、さらに負担は小さくなります。完全にボランティアで行えるかどうかは考える必要がありそうです。

全国的に自治会への加入率が下がる傾向にあると言われていますが、地区ごとにまとまった量を渡して、そこから手分けして配る方法は大いに参考になると思います。全戸配布も非現実的ではなくなるでしょう。

pdfファイルで閲覧出来るのは府中市も呉市も同じですが、呉市では、「◯ページ目から●ページ目まで」といったように部分的にダウンロードすることが出来ます。容量が大きいので、この配慮は嬉しいです。

以上、府中市と呉市を比較しての印象をまとめてみました。繰り返しになりますが、上記の方法が全て正解だとは考えていません。ただ、これからの広報紙のあり方を考える上での参考になればと思っています。

次回は、広島市との比較を綴ってまいります。広島市の広報にも、大変参考になる点が多くありました。

【追記】2015.01.06 16:15
2016年発行分より、府中市の広報紙『広報ふちゅう』は電子書籍版としてホームページ公開されています(pdfファイルではありません)。本をめくるように読めますが、使い心地については賛否両論が出るかもしれません。